皮むき日記
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鳥や哺乳類の死体は、皮を剥いたり、肉を取り除いたり洗ったりして標本にします。面倒な作業ですが、その中でいろんな発見があるのも事実。どんな作業をしたかを記録すると同時に、その際の小さな発見を書いてみることにしました。
(注)ここで行っている皮剥きなどの標本作成は、調査研究目的(及び普及教育目的)で、大阪市立自然史博物館の業務の一環として行っています。またその対象は、この目的で殺したものではなく、事故で死んだ個体や、動物園などで死んだ個体を用いています。動物虐待ではないかとの指摘があったので、念のため。
●2024年3月20日 オオコノハズク、カワウ、カイツブリ
なにわホネホネ団の鳥の日。今年度の鳥剥き17日目の31種36羽目(内、動物園物は2種2羽)。
・オオコノハズク(OMNH A8852:2024年3月、大阪市北区産)
綺麗なメス個体。脂肪を大量にため込んでいるけど、すべて引っ張って除去できるので、簡単だった。気管と食道は右側を走る。
・カワウ(OMNH A8853:2024年3月、兵庫県西宮市産)
頭と脚の付け根がまっ白。繁殖モードに見えるけど、精巣は小さいまま。気管と食道は右側を走る。
・カイツブリ(OMNH A8852:2024年3月、奈良県天理市産)
顔が赤くて綺麗。精巣の長径9mmと、完全に繁殖モード。正羽の尾羽はないのだけど、尾羽っぽい綿羽(半綿羽かな?)があった。今まであまり気付かなかったけど、けっこう尾羽っぽかった。あと脚が縦に平べったく、その後ろ側は、トゲトゲが2列に並んでる。気管と食道は右側を走る。
●2024年2月25日 アオバト、ヤマシギ
なにわホネホネ団の鳥の日。今年度の鳥剥き16日目の28種33羽目(内、動物園物は2種2羽)。
・ヤマシギ(OMNH A8844:2024年1月、大阪市中央区産)
脂肪がないので、剥きやすかった。気管と食道は右側を走る。鳥の剥き方を説明していたのだけど、耳の位置や首の付け根の位置が普通と違うので、あまりいい例ではなかった。
・アオバト(OMNH A8845:2024年1月、大阪市北区産)
もともと喉の羽毛が抜けまくり。脂肪がないのだけが救い。そのうは空。空だけど、そのうは膨らみ気味で、気管がよく判らなかった。でもたぶん左側を走ってる。中は血まみれ。背中から血が出ていたけど、キズはなかった。へんなの。
●2024年1月13日 ドバト、クロサギ、アオゲラ
なにわホネホネ団の鳥の日。今年度の鳥剥き15日目の27種31羽目(内、動物園物は2種2羽)。
・ドバト(OMNH A8836:2023年9月、大阪市東住吉区産)
弱ってるのを保護した個体。剥いてみると、胴体にいっぱい穴が開いていた。カラスか何かに突き殺されたってところだろうか。
・クロサギ(OMNH A8830:2023年12月、大阪府岬町産)
頭はないけど、貴重な大阪府産のクロサギ。が、剥いてみると、頭無いだけでなく、皮は破れまくりだし、腐ってるし、脂肪をいっぱい蓄積してるし。考えられる最悪な素材であった。でも、大阪府産のクロサギだから。腰回りの粉綿羽が、他のサギ類より発達してる気がする。
・アオゲラ(OMNH A8834:2024年1月、富山県立山町産)
新鮮で、脂肪がない個体。クロサギの後では、いやされる。舌のホネの長さもそれを動かすっぽい肉も気になるけど、尾端骨がしっかりしていて、底面が広い。尾脂腺が左右に分かれてる。頸椎が頭骨にいやにしっかり付いていて、外すのに苦労した。
●2024年1月8日 ノスリ
今日もはくぶつかんたんけん隊で鳥の皮剥き。今年度の鳥剥き14日目の25種28羽目(内、動物園物は2種2羽)。
・ノスリ(OMNH A8831:2023年2月、和歌山県かづらぎ町産)
一見綺麗な個体だったが、両方の大腿骨が折れており、腹腔内に出血があり、腸の一部が総排泄口からはみ出していた。車に轢かれたのかなという感じ。
●2024年1月7日 オオタカ
はくぶつかんたんけん隊で鳥の皮剥き。今年度の鳥剥き13日目の24種27羽目(内、動物園物は2種2羽)。
・オオタカ(OMNH A8828:2023年112月、大阪府豊中市産)
ものすごく痩せていて、内臓は萎縮して、腹腔内は隙間だらけ。ケガや出血はない。おそらく餓死。シラミバエが1匹、ハジラミが少なくとも2種採れた。