大阪府下のハッカチョウ、イソヒヨドリ、ムクドリの繁殖分布調査(2024年)

調査方法 ・ 調査結果
2014年の結果

 かつて大阪府のムクドリの分布は局地的でした。それが、どこにでもいるようになったのは1980年頃です。1990年代、イソヒヨドリの内陸への進出が目立ちはじめました。そして2003年以降、大阪府でハッカチョウが繁殖を始めました。
 この3種は、いずれも街中で暮らし、果実や虫を食べ、人工的な穴で営巣します。とても似た生態を持つこの3種が、今後、街の中でどんな三つ巴の関係になるのか、とても興味深いテーマです。
 そこで、2014年に一度大阪府における3種の繁殖分布を調べました。それから10年経って、現在の分布がどう変わったかを調べたいと思います。

調査方法

対象種:ハッカチョウ、イソヒヨドリ、ムクドリ
調査期間:2024年4月〜7月

調査エリア
 ハッカチョウ →この調査では大阪府ですが、日本全国の情報を集めています。こちらの日本のハッカチョウ分布調査を参照ください。
 イソヒヨドリ →この調査では大阪府だけですが、大和川水系調査プロジェクトの一環で、奈良盆地の情報も集めています。
 ムクドリ →大阪府の情報だけ集めています。

調査方法:ハッカチョウ・イソヒヨドリは姿を見つけたら、ムクドリは繁殖を見つけたら、次の記録項目を記録して、和田(wadat@omnh.jp)まで報告してください。

記録項目:種名、観察日、観察場所(くわしく、できれば緯度経度)、観察者名、繁殖関連行動(巣らしき穴・隙間への出入り、巣材や餌を運ぶ、巣立ちビナを連れる、囀る)。

その他:データは、環境省の三次メッシュ(1/2万5千地形図を10×10に分割、およそ1km×1km)単位で分布図を作製します。つまりあまり接近した場所から複数の報告は必要ありません。1ヶ所の報告は、1回で充分です。

【データの扱い】
・全体的には、大阪鳥類研究グループの調査として扱います。
・大和川水系の情報に関しては、大阪市立自然史博物館の大和川水系調査プロジェクトの成果に含めます。
・ハッカチョウの情報は、和田が継続実施しているハッカチョウの情報に含めます。

調査結果

 2024年4月1日〜5月4日の確認地点。

ハッカチョウ
 過去10年の間に記録された場所の中でも、比較的近年複数回記録され、現在も生息していそうな場所のかなりのエリアで、今年の生息も確認された。過去2年に記録されている場所には、以下があります。
・池田市南部の猪名川沿い周辺
・寝屋川市
・守口市西部(鶴見緑地周辺)
・東大阪市の東花園・瓢箪山周辺
・八尾市大窪周辺
・大阪市此花区東部(西九条駅・千鳥橋駅周辺)から福島区西部(淀川駅・大開公園周辺)
・大阪市平野区瓜破周辺
こうしたエリアに行く機会があれば、是非注意してみてください。


イソヒヨドリ
 すでに大和川より南のエリアを中心に、たくさんの情報が集まっています。何かのついでにイソヒヨドリを見かけたら、かぶっても構わないので、どんどんお知らせください。もし狙って調べるなら、抜けてそうなエリアを狙ってください。
●千早赤阪村、四條畷市、門真市の情報はまったくありません。大東市は情報が1地点ずつしかありませんし、河南町と寝屋川市は2地点しかありません。
●大阪市内では、平野区、西成区、大正区、都島区、鶴見区の情報がまったくありません。

 その他、とくにチェックしてもらえるとありがたいエリアは、以下の通りです。
・山間部の集落で特に情報が欲しいのは、高槻市北部、島本町北部、大東市東部、千早赤阪村、河内長野市(高野線沿線以外)、岸和田市、貝塚市、泉南市です。
・関西空港や舞洲など埋立地の情報も少なめです。大阪市は舞洲・夢洲に限らず海岸部の情報がほとんどありません。
・八尾市・東大阪市東部から北河内にかけてのエリアは全体的に情報が少なめです。


ムクドリ
 大阪平野に広く生息しているはずですが、生息確認も足りていません。
 繁殖確認には、穴への出入り、巣材・餌をくわえて運んでいる、といったムクドリ探してください。5月半ば以降は、巣立ちビナの確認がお勧めです。巣立ちビナの確認は、給餌を受けている、あるいは給餌を求める声で鳴いているだけでもOKです。

 黄○:繁殖確認。うす黄○:生息のみ確認。