【プロフィール】

 1964年,香川県高松市生まれ.1966〜1983年,大阪市住吉区苅田に在住.1984年から京都で6年間の大学生活を送る.1990年より現職.就職年に「花博」があった.1993年より琵琶湖および周辺域の植物調査を始める.1994年からスマトラ島でのブナ科の調査を手がける.大学時代からのコナラ属の繁殖生物学に加え,琵琶湖の植物相と植物地理,湿生植物や水生植物の繁殖生態,熱帯のブナ科植物の分類,保全生物学についての研究を行っている.最近は海草にも興味を持つ.


【専門分野】

コナラ属植物の繁殖生物学

西スマトラ地域におけるブナ科植物の分類

琵琶湖および周辺域のフロラと植物地理

低湿地性植物の繁殖生物学

◆保全生物学


【調査フィールド】

 マクロ生物学なので,野外で調査することが多い.研究室内での作業もあるが,材料を集めるには野外に出なければならない.野外での仕事は陽のあるうちが勝負で,お天気に左右される.天気のいいときは気持ちよく仕事ができてはかどるが,雨天での調査は悲惨.雨天順延が基本だが,日程の都合がつかなければ,強引に決行せざるを得ない.台風接近の強風と雨の中でやったこともある(これは苦痛).でも,天気の悪いときは,普段と全く違う自然の表情に魅力があるのも事実.1995年の豪雨で琵琶湖の水位が+90cmを越えたときは,土砂降りの中をわざわざ調査に出かけたのである.

 調査の合間で,キツネやリスに出会ったり,イノシシの接近に恐怖感を覚えたりしたこともある.子連れのツキノワグマに出会ったときはさすがに肝が冷えた.

 ルーチンワークの調査では,データやサンプルの採取が主目的なので,標本採集をしている暇はあんまりない.資料収集としての標本採集や写真撮影は,もっぱら普段の調査地とは違うところに出かけたときや,別の日程をたてて行う.調査と資料収集の両立は難しい.実際には,出張よりも休日を利用して出かけた際の資料収集が重要なウェイトを占める.

最近の主な調査地は以下の通り.

・京都市左京区吉田山

琵琶湖周辺(主に安曇川デルタ)

スマトラ島パダン周辺

最近(1997年8月以降),資料収集行った主な場所は以下の通り.

近畿地方:湖西地方,湖北地方,マキノ町三国山,大津市葛川,伏見区桂川,伏見区向島,舞鶴市冠島,円山川,淡路島,東住吉区今川,信太山,大和葛城山,曽爾高原,紀伊大島,紀伊田原,櫛田川,志摩半島,伊賀上野

中部地方:木曽川,渥美半島,富来町

四国地方:吉野川,松茂町,大方町入野,室戸岬

九州・沖縄地方:八重山諸島

東北地方:安達太良山

北海道:道東


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【私のお仕事】

 学芸員としてのいろんなお仕事がある.研究・資料収集・普及教育・展示とそれにまつわる諸々のこと.自分の分野については,ほとんど全てを独力でこなしていくので,たいへん.

研究とその内容:専門分野学会発表文筆活動を参照.

資料収集:標本整理については,1年間でどのくらいの仕事量があるかというと,私のパーソナルコレクションが300〜1,000点くらい.経常的な寄贈・交換標本が1,000点くらい.これに大規模コレクションの寄贈が随時加わる.これらの整理・配架にとられる労力は馬鹿にならない.もちろん,配架には「同定作業」も含まれている.標本庫の「お守り」である.でも,標本をじっくり眺めるってのは楽しいものだ.悩みは,ほかの仕事に時間がとられて,標本とにらめっこする時間がないこと.ラベルのない標本は,整理に手をつけていないし,今後手をつけるあてもその気もない(寄贈標本には必ずラベルをつけて!,そうでないと50年経っても整理される保証はない).野外での資料収集は調査フィールドを参照.

普及教育:博物館主催の行事で担当・分担する行事は年間20回くらい,およびそれにともなう下見や準備が付随する.ボランティア育成事業もある.このほかに博物館友の会の行事の世話がある.友の会発行の雑誌への原稿書きが輪番で回ってくる.その他の頼まれ原稿もある.可能な限り断っているが,講師を頼まれてやむなく引き受けることも.外部からの頼まれ仕事はできるだけ断りたいのだが・・・.

電話質問の対応や,植物の名前を教えて欲しいといった質問への対応.これがけっこうたいへん.こちらがどんな仕事をしていようと待ったなしで質問がくる.研究室から出ていたりすると,全館業務放送で呼び出される.難儀なのは,電話で「赤い花が咲いているけどなんていう名前?」とか「紅葉みたいな葉っぱの草の名前は?」という類の質問.答えは単純明快で「実物を見ないと分かりません」.でも,しつこく聞く人もいて,終始オウム返しの返答を繰り返す・・・不毛.また,葉っぱ一枚で「なんですか?」てのもある.こんなん,わかるわけないやん!と心で思いつつ,一応調べるジェスチャーはしてみるもののやっぱりわからない.出来のいい押し葉標本を持ち込まれると,嬉しくなってがんばって調べてあげる.やっぱり,熱心さ(きちんとした状態の標本やサンプルを持って来るには,それだけの努力が必要だから)には答えてあげねば.

展示:2001年春オープンの「地域自然誌展示室」の展示準備.展示の計画,解説パネルの原稿執筆,展示物の調達に大忙し.とくに植物レプリカ45点の材料入手を一手に引き受けている.1点のレプリカ材料入手のためには,3回くらい現地へ足を運ばねばならない.2000年度は週に3〜4日は,材料入手のための探索,採取時期確認,採取のために野外に出張中.

2000年度は,特別展「干潟の自然」の植物分野を担当.展示5コーナー,解説書原稿6テーマを担当.ヨシ原のジオラマは思ったように完成せず,失敗.

1998年度は,特別展「都市の自然」の担当でたいへんだった.展示解説書の原稿執筆,展示資料の採集・標本作製,展示のレイアウトから完成まで,自分の担当部分をほとんど一人でこなす.今回の担当コーナーは,「都市の緑地環境,街路樹,帰化生物総論,帰化植物,外来タンポポと在来タンポポ,埋立地(分担),都市公園(分担),長居公園の変遷(分担)」の合計8コーナー.全体の1/5くらい?を担当.解説書は64ページのうち,18ページを執筆.オニバスの標本をつくって展示した.

近畿地方の植物保全に関する活動・・・といっても,情報収集と整理・アドバイザー的な活動である.星の数ほどある自然保護や保全問題にすべて頭をつっこむ能力も時間も暇もないので,もっぱらレッドデータブック近畿研究会の活動の一環を延長した程度である.専門家としての意見を求められた場合への対応が中心? 保全運動を主体的にがんばっている方のお手伝いもする.でも,自分で主体的に取り組むことナシに「ここの自然を守りたい,専門家の力を借りたい」という要望は却下.

 最近では,レッドデータ種の保全につてのアドバイスを求められることが多くなった.一方で,自分でろくに調べもせずに同定を依頼してくる不見識なアセスメント会社がいて閉口する(もちろん追い返す).また,自然保護に熱心なのは分かるが,「何でも移植」,「レッドリスト偏重(レッドリスト種以外の自然の価値をわかっていない!)」,「地元を愛するが故の思いこみ(自然保護に必要な要素だが,極端な場合は障害になることもあるのを自覚して欲しいなぁ)」という保護団体側の問題も無視できないと思っている.もちろん,自然保護における行政システムの根本的な欠陥も無視できないが.

乏しい知識と経験で学芸員の仕事をこなすのは,結構たいへん.あと5年くらい大学に残って勉強した方がよかったかな?

◆その他:上記活動に関わる諸々のこと.この文章を入力することも含まれる.下記参照・・・・・・たいへん.


【こんなこともしてる】

 自分の意志でやっているものの他に,立場上,断れないものもある.ボランティアと言った方が実態に近いかも.

植物分類地理学会 評議員

種子植物談話会 世話役

レッドデータブック近畿研究会 連絡係

・環境庁 野生動植物種保存推進員

・京都府 レッドデータ調査昆虫III分科会委員

・近畿植物同好会 顧問

・関西自然保護機構 編集委員

------------過去にやったもの

・大阪府 種の多様性調査植物分科会委員

・植物分類地理学会 会計幹事


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